2012年5月3日木曜日

映画鑑賞@イメージフォーラムフェスティバル

イメージフォラムフェスティバルへ行きました。

Aプログラム
『金星の夢』(2011年 20分)とろけそうなイメージと静かな音楽がとても惹き付けられました。
『みちゆき温泉編』(2011年 4分)独特のぎこちない動きの少年たち。途中で重低音の音楽とぎこちない動きのミスマッチがとても面白かったです。
清家美佳監督の『蛾鑑』というアニメーション作品が書物の虫食いのイメージと重なって見入ってしまいました。長いカットのようだけど、ひとつのパートが5秒くらいで独特のテンポがあり、単純な動きに集中できました。
田名網敬一監督の『Red colored bridge』は破壊力満点。突然ヘリがぶっ壊れたり、サイケデリックな少年が歩いたりして容赦ないイメージの連鎖です。

Hプログラム
伊藤隆介監督『偶然的出会い』はファウンドフッテージ作品。岩波映画の地震予知のフィルム(70年代?)に活断層の移動を映像で見せるためにコンニャクを二枚重ねてズリズリッと移動させていた。CG全盛の現代では考えつかないセンスです。上映がストップしたのでフィルムが切れたのかな、と思ったら、燃えてしまったとのこと。オリジナルフィルムの上映ということで観ることができてよかったです。

Iプログラム
五島一浩監督『相対位置』は動く電車をスローモーションで撮影した作品。窓の人の表情が見えるか見えないかギリギリのところに惹き付けられました。途中東海道線と新幹線のぞみが重なって、さらに東京モノレールの線路まで出てきてオオっと唸りました。

Nプログラム スティーブン・ドウスキン特集 
『チャイニーズ・チェッカーズ』(1964年)
二人がゲームをしていて(全く白熱していない)そこへ割って入るかのようなカメラが印象的でした。
『トリクシー』(1964年 音楽ギャビン・ブライアーズ)
女性がカメラの前で動き、エロテックでした。エロ全盛の現代の卑猥さとはまた違うイメージでした。女性の表情や動きと無関係の音楽が、はじめは短い単語「トッリクシー」のループかなと思ったら、微妙に変化していて視覚と聴覚で別々に楽しめました。
『イエスの血』(1972年 30分)
一人の男が歩道でたたずんでいる。顔は光があまり当たっておらずわからない。画面にの両端には時々光線漏れが出てたり、引っ込んだり。中盤後ろで大型トラックが動いた。スローな動きだった。オリジナルは16ミリということだが継ぎ目が全くわからなかった。徐々に男にカメラは近づくのだが、そのカメラが近づく動きもわからなかった。

Oプログラム 場違いなお話
『波』ミゲル・フォンセカ監督2012年 22分
波とサーファーと断崖が印象深かったです。
『現んかくな体制』エルッカ・ニッシネン監督 2012年14分
横に揺れながらプールサイドを歩く主人公が独特のリズム感でした。
『イスラ・アルタ』フェディリコ・アドルノ監督 2011年 15分
冒頭の家の中で火が燃えている長いカットから一気に引込まれました。森の中、人。静かな映画なんだけどとても面白かったです。
『ビッグ・イン・ベトナム』マティ・ディオップ監督 2012年 29分
ベトナムの撮影現場。女優が何処かへ行ってしまったのか、撮影はそれでも進行する。女性スタッフが現地の人といい仲に。今村昌平監督の『人間蒸発』を夢想しました。


X1プログラム
ペーター・クーベルカ監督『アーヌルフライナー』(1960年 35ミリ 6分)
光の明滅の映画。トニー・コンラッド監督の『フリッカー』は規則性のある明滅だが.
『アーヌルフライナー』は明滅のパターンを映画的にした感じだった。黒みが数秒続いた後に突然スヌケが現れたりして、その時のイメージは空間がひらけるような感覚でした。映画の空間の広がり方に定型はないと思いました。スヌケ、黒みが数コマづつ続くので、コマ単位での明滅がグレートーンに見えました。
『サンセット大通り』トーマス・コーシル監督 1996年 16ミリ 8分 
左から右へ自動車が通り過ぎる1秒くらいのフッテージがひたすら続くサイレント作品。自動車といってもメーカー、車種により色んな色があるものだなと。ドライバーの表情がはっきりと写っていて、この映画のイメージに惹き付けられる要因なのかなとも思う。運転中の人たちは皆無表情で個性というものがなく、逆にそこが面白かった。体を揺さぶるような激しいテンポではなく、息を吸いつづけるようなテンポがサイレントと合っていた。中盤から終盤に大型バスが出てきたりして強弱を感じ、自動車だけでもイメージを構成できるんだなと思った。
『ボディー・ポリティックス』 ヴァリー・エクスポート監督 1974年 16ミリ 3分 モノクロ 
大歓声の中電話ボックスのある風景。二人スーツ姿の男が登場。その後スタジアムのベンチに座る。大歓声の中一人は立ち上がり手で引き戸をあけるような動作をする。最後にはメーンスタンドの4人の男たちと握手をする。男たちは終始無表情で抑揚もなく、動作もリアリティの追求とは違いとても固くて機械的でとても面白かった。男なら誰しも夢想するイメージではないかなと。
『光と音の機械へのインストラクション』 ペーター・チェルカススキー監督 2005年17分 
ハイコントラストのプリントが連続するリズム感のあるファウンドフッテージ作品でした。